WHAT IS BALLSCHULE?
バルシューレとは?
ドイツのハイデルベルク大学スポーツ科学研究所のロート教授が考案した、科学的な根拠を背景に持つ自由な思考と直感力を働かせた創造的なプレーの土台を創るボール運動プログラム_。
|プログラム開発の背景
プログラムの開発には、FIFAワールドカップ(1994)で、ドイツが決勝トーナメントで敗退&ブラジルが優勝 という背景がある。ドイツの研究者は「子どもの頃の過ごし方」「サッカーの学び方」に違いがあるとして研究を始め、1998年に開設されたバルシューレハイデルベルクによってドイツ全土に広がりを見せています。
|プログラム概要
「自分達が楽しむためにどのようにゲームと関わっていくのか?」というキッカケにより、全てのボールゲームに通ずる運動スキルを自然と楽しく身につけていきます。
幼児期~児童期は、運動能力の発達において非常に重要な時期になります。また、脳重量においては成人の約90%がこの時期に形成されます。つまり、特定の競技で子ども達の運動バリエーションを制限するのではなく、種目を横断したスポーツを経験する早期多様化により、小さなオールラウンダー(スポーツ万能プレイヤー)を育んでいきます。
|指導者の役割
子ども達は遊びのように、自由かつ夢中にプレーするだけですが、指導者は各プログラムが何を課題としているのかを把握しています。つまり、子どもに具体的な修正指示を与えるのではなく、課題とする戦術局面・状況が出現するゲームを提供して、小さな成功を設計する役割を担います。
バルシューレの目的
|一般的目的
体力・運動能力の向上
健康の維持
認知的能力の開発
|具体的目的
創造的なプレーの育成
多くの球技の基盤となる基礎的なボール運動スキルの獲得
|その他
言語力・数学的思考・社会的能力など全人教育に配慮
障がい者スポーツへの適応可能性
バルシューレの理念
|楽しい学習
運動を楽しむコトは、子どもにとって重要な要素となります。ゲームで得られる予期した以上の達成感は、次の学習の動機や学習効果を高めるコトにも繋がり、子どもの思いがけない達成を経験する可能性を高めてくれます。
|多様性のある学習
それぞれのスポーツ種目の専門的な育成に入る前に、全てのスポーツに共通する幅広く一般的な育成を先行させるべきである(種目横断的な運動スキルを構築する)というトレーニング科学論に基づき「一般から個別へ」をモットーにする指導・学習コンセプトを持っています。
|発達段階に即した学習
多くのボールゲームに共通する戦術(プレイ力)・コーディネーション(身のこなし)・技術(ボールを扱う力)を育成するプログラムを発達段階に応じて実践しています。
|潜在的学習
直感的で無意識のうちにスキルを獲得する学習能力「潜在的学習」により、ボールゲームにおける能力開発を実現しています。
コラム|子ども達の現在・未来
|運動習慣の二極化
子どもは、遊びから社会性を学び、基礎的な運動能力も育んでいく。しかし、放課後の時間の使い方や空き地の減少・子どもを狙った犯罪の多発により、遊びに必要な三間(時間・空間・仲間)の減少が問題となっている。それらが要因にある「運動習慣の二極化」に付随した、運動不足や体力・運動能力の低下が引き起こっている。

令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査(スポーツ庁,2019 )から、小学生では「スポーツ教室所属の子ども」と「身体活動をほとんどしない子ども」の二極化があり、あまり運動をしない小学生(1週間の総運動時間が420分未満、つまり60分/日未満)の割合がかなり高くなっているコト & 中学生に入ると「運動系の部活に所属する子」と「しない子」によって、身体活動量の二極化が一気に進んでいるコトが指摘されている。

ちなみに、1週間の総運動時間が420分未満(60分/日未満)の子どもの体力合計得点が低く、新体力テストが好成績ほど学業成績が良いという傾向があり、認知的能力の開発にも運動が良いとされている。
|子どものロコモティブシンドローム
加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態を表す言葉_。
高齢者に多いとされていた運動器症候群(ロコモティブシンドローム)が、運動不足に応じて「子どもロコモ」が増加傾向にあり、怪我の増加や生活習慣病へのリスクを高めている。さらに、特定の競技スポーツを専門的に実施する(偏りがある)コトでも機能不全の兆候が見られている。
コラム|マルチスポーツの重要性
多様な競技に参加するスポーツの参加方法のコト_。
競技の早期専門化は、アスリートとしての総合的な運動能力の開発が遅れてしまうコトが明らかになっている。若い時期に競技を一つに絞るコトは、一見上達が早いように思われるが、怪我のリスクの増加・ドロップアウト・運動器症候群の発生要因になってしまう側面がある。
そこで、マルチスポーツにより、多様に動ける感覚を自分に宿しておくコトで、スポーツパフォーマンスのピークを年齢増加に伴って上昇させるコトに繋がるのである。
マルチスポーツの効果
自身の可能性に気づく機会の提供(選択肢の増加)/ スポーツ間の移動の自由の実現(多様性の担保)/ オールラウンダーの育成 / ケガの予防